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三枚目の企画書
午後十一時の商品企画部には、真柴葵のデスクだけが灯っていた。
モニターには企画書が三つ並んでいる。来月の社内コンペに出す冷凍総菜の新シリーズ案だ。規定では一人一案でいい。けれど葵は三案すべてを仕上げるつもりでいた。半年前のコンペで、彼女の案は最終選考の手前で落ちた。あのときの部長の短い沈黙が、まだ...
踊り場の三分
晴和精機の品質保証部が入る三階は、その春、二十年ぶりに壁を失った。役員が視察先で見てきた「風通しのいい職場」を再現したのだという。仕切り板は撤去され、固定席もなくなり、六十人がひとつの島でつながった。
加瀬理都は、その二週目にはもう限界を感じていた。
検査記録の照合は、数字を一桁ずつ目で追う仕事...
静かな窓際の席
総務部の村瀬美咲は、今日も始業前にオフィスに着いていた。
誰もいないフロアで資料を整理する時間が好きだった。蛍光灯の微かな唸りと、空調の低い音だけが響く。その静けさの中でなら、頭の中が整理される気がした。
しかし九時を過ぎると、オフィスは一変する。キーボードを叩く音、電話の呼び出し音、隣のデスク...