KPI 3件の記事

削った分は、どこへ行ったか

相和建材の西日本支社長として単身赴任した黒沢肇は、着任した週の金曜、支社の損益計算書を三度読み返した。 売上は本社の三分の一。営業利益率はその半分。毎月の役員会で映し出される支社別の棒グラフの中で、西日本だけが低く沈んでいる。四十九歳。管理本部で十年、数字を締める仕事をしてきた黒沢にとって、その低...
2026-09-09 09:17:14

点のつかない部屋

坂内あかりが社内基盤「ひろば」の担当になったとき、社長から言われたのは一言だった。「部署の壁を薄くしてくれ」 ミナカワ生活研究所は、洗剤や台所用品をつくって六十年になる。工場と開発と営業が、それぞれの言葉で仕事をしていた。同じ製品の話をしていても、三つの別の話に聞こえた。坂内はその三つを一つの部屋...
2026-07-30 09:03:47

二本の矢印

宮下真澄がサンライズ電機・城南店の白物家電売り場に立って、四年目の春だった。 その日、洗濯機のコーナーで足を止めた老夫婦は、しばらく最新型の前で顔を見合わせていた。二十万円を超える、乾燥機能付きの一台だった。 「お二人でお住まいですか」 「ええ。娘は遠くにいるもんで」 「洗濯は、週に何回くらいで...
2026-07-24 11:02:33