独立
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近道の値段
桐谷澪が始めたのは、自宅の台所で石鹸を煮る小さな仕事だった。
半年前まで、月の売上は数万円だった。それが、何気なく投稿した一枚の写真をきっかけに、注文が雪崩を打った。「アトリエ・ミオ」の名は業界の外にまで知られ、売上は数字の桁がひとつ、またひとつと増えていった。
嬉しさより先に来たのは、恐怖だっ...
ふたつの地図
金曜の午後、都内のコワーキングカフェは客がまばらだった。森田俊介は、地方で撮った映像をラップトップに流しながら、編集点が決められずにいた。町工場の三代目がインタビューの最後に見せた、照れくさそうな笑顔。そこにどうテロップを添えるか、三週間前の自分なら即決していたはずなのに、今日は手が止まる。
三年...