セカンドキャリア
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落ちた高さの数えかた
葛西涼介は、その広告代理店で長く「会社の顔」だった。大型のプレゼンは必ず彼が締め、表彰式の常連で、若手はこぞって彼の話し方を真似た。好感度。それが彼の最大の資産であり、最強の武器だった。
ところがある案件で、彼は致命的な判断ミスを犯した。詳細は伏せるが、業界中に知れ渡るほどの失態だった。主要クライ...
地図のない航海
三崎誠一は、明和食品の営業企画部で三十二年間働いてきた。来月で五十七歳になる。
「三崎さん、例の件ですが」
隣の席の若手、田村が声をかけてきた。新規取引先との契約書類のことだ。三崎が下準備をし、田村が仕上げる。かつては逆だったが、役職定年で課長の肩書を外してからは、こうした補佐的な仕事が増えた。...