キャリアデザイン
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翻訳者の砥石
「来期から、君には技術広報に移ってもらう」
恩田悠介がその辞令を聞いたのは、入社八年目の春だった。彼は精密機器メーカー「明科テクノロジー」の中央研究所で、センサーの信号処理アルゴリズムを担当していた。学会で論文賞をとったこともある。誰もが彼を「研究所の頭脳」と呼んだ。
技術広報。製品カタログの文...
譲れない軸
「ミドリ広告」の大阪支社は、地場企業を中心に堅実な取引を積み上げてきた中堅代理店だ。
主任の久保田茜(二十八歳)は、その支社で「真面目な久保田さん」として通っていた。服装はきちんとしたジャケットにパンツ、髪はいつもまとめ、クライアント先でも物腰が柔らかく、年配の担当者受けがいい。支社の売上の一割を...