キャリア論
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翻訳者の砥石
「来期から、君には技術広報に移ってもらう」
恩田悠介がその辞令を聞いたのは、入社八年目の春だった。彼は精密機器メーカー「明科テクノロジー」の中央研究所で、センサーの信号処理アルゴリズムを担当していた。学会で論文賞をとったこともある。誰もが彼を「研究所の頭脳」と呼んだ。
技術広報。製品カタログの文...
下地のはなし
「正直、要件は単純なんです。売上をリアルタイムで見られるダッシュボード。それだけ作ってもらえれば」
会議室の長机の向こうで、川端工業の社長は早口にそう言った。創業四十年の町工場。最近、息子に専務を譲ったばかりで、社長自身は会長職への移行が決まっている。
聞いていた真鍋は、メモを取る手を止めた。フ...