キャリア論 2件の記事

翻訳者の砥石

「来期から、君には技術広報に移ってもらう」 恩田悠介がその辞令を聞いたのは、入社八年目の春だった。彼は精密機器メーカー「明科テクノロジー」の中央研究所で、センサーの信号処理アルゴリズムを担当していた。学会で論文賞をとったこともある。誰もが彼を「研究所の頭脳」と呼んだ。 技術広報。製品カタログの文...
2026-06-07 08:40:40

下地のはなし

「正直、要件は単純なんです。売上をリアルタイムで見られるダッシュボード。それだけ作ってもらえれば」 会議室の長机の向こうで、川端工業の社長は早口にそう言った。創業四十年の町工場。最近、息子に専務を譲ったばかりで、社長自身は会長職への移行が決まっている。 聞いていた真鍋は、メモを取る手を止めた。フ...
2026-04-29 11:44:34