チームビルディング 3件の記事

下っ端になりに来た男

高瀬調理器具製作所の二代目社長・高瀬誠一は、五十二歳にして、自分の会社の組み立てラインに「見習い」として立っていた。  きっかけは、隣町の小さな金属加工会社「フジワラ製作所」だった。高瀬の工場が三日かかる工程を、その町工場はなぜか半日で終える。同じ機械、同じ材料、同じ人数。からくりが知りたくて頭を...
2026-06-12 08:09:26

ブレーキの地図

桐島慎一は、社内で「止め男」と陰口を叩かれていた。  中堅のシステム開発会社で品質管理マネージャーを務める彼は四十三歳。会議のたびにリスクシートを配り、新機能のリリース判定では必ず最後まで賛成の手を挙げなかった。その場にいるだけで議論の体感温度が二度は下がる。同僚からは「また桐島が止める」と嫌がら...
2026-05-20 08:57:18

隣の席の距離

営業一課と営業二課の統合が決まったのは、六月の末だった。 業績の伸び悩みを背景に、会社は組織のスリム化を進めていた。統合後の新チームを率いることになったのは、営業一課の課長・片桐雅彦、四十二歳。部下は十二人になる。 片桐は統合初日、全員をひとつの島に集めた。デスクを寄せ、ホワイトボードを共有し、...
2026-01-29 16:43:58