読書
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棚を歩く人
「理由は三つあります」
佐伯遥斗がそう切り出すと、会議室の空気が少しだけ締まる。文具メーカー・丸野文具の企画部で六年目。話し方の本で覚えたこの型を、彼は武器にしてきた。第一に、第二に、第三に。言い切って、以上です。それだけで「仕事ができる人」に見える。
その日の議題は、彼が温めてきた新商品だった...
下地のはなし
「正直、要件は単純なんです。売上をリアルタイムで見られるダッシュボード。それだけ作ってもらえれば」
会議室の長机の向こうで、川端工業の社長は早口にそう言った。創業四十年の町工場。最近、息子に専務を譲ったばかりで、社長自身は会長職への移行が決まっている。
聞いていた真鍋は、メモを取る手を止めた。フ...