出世
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夕方六時の石
東洋精工の営業企画課で、沢井航は毎晩いちばん最後に照明を消す人間だった。入社六年目。同期の何人かは主任になったが、自分にはまだ声がかからない。足りないのは熱意だと沢井は考えていた。だから誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰る。それがいつか誰かの目に留まるはずだった。
四月、海外子会社から時任という課...
ナチュラルカーブ
北見保夫の机は、フロアのいちばん端にあった。窓際でも上座でもない、ただ通路に近いだけの席だ。五十八歳。地域密着型のドラッグストアチェーン「みどり薬品」で、彼は十二店舗を巡回する店舗指導員を務めていた。役職はない。かつてはあった。
入社二十年目の頃、北見は二度、昇進試験に落ちた。一度目は準備不足だ...