リフレーミング 2件の記事

捨てなかった一台

高村製作所の試作課で、相田は一台の機械のスイッチを切った。導入してまだ三か月、期待の新型だった。一枚の原型から二十通りの試作を一気に起こせる——営業がそう言うから飛びついた。だが仕上がる部品は、どれも角が甘く、量産品のような安っぽい肌になった。手元の一枚が持っていた張りのある質感が、機械を通すたびに...
2026-07-12 15:27:11

衣装の意味

橘ミサキは入社四年目、店の売上を一人で引っ張る販売員だった。だから本社からの通達を読んだとき、誰よりも先に顔をしかめたのも彼女だった。 「来月より、勤務中はブランドの新ラインを着用のこと。スニーカー不可」 生活雑貨を扱う「ノクト」の店舗で、ミサキたちはこれまで動きやすい私服に近い装いで働いてきた...
2026-06-19 09:45:58