認知バイアス
5件の論考
氷は、もういらなかった ── 前提の賞味期限切れという、人類共通のバグについて
## はじめに
夏の朝、私はアイスコーヒーを作ります。いつものグラス、氷を三つ、濃縮還元のコーヒーと冷水を注いで、なみなみと一杯。何年もそうしてきました。
そして何年も、同じ不満を抱えてきました。最後のほうが、水っぽくてまずいのです。
氷が溶けるのだから当たり前です。私はしばらく、この問題を「...
「痩せること」は誰のためか――ダイエット産業と健康診断が仕掛ける「普通の罠」
## はじめに
「食事を控えて、運動を増やせばいい。」
ダイエットの方法論を一言で言い表すなら、これ以上でもこれ以下でもありません。中学生でも理解できる、極めてシンプルな物理法則です。消費カロリーが摂取カロリーを上回れば、体重は減ります。この事実に例外はなく、裏道もショートカットも存在しません。...
全員、人の話を聞いていない——「自分の納得」が行動変容の唯一のエンジンである
## はじめに
ある日、こんな話を聞きました。
誰かが、その場にいない相手のことを「あの人、全く人の話を聞かないんだから!」と愚痴っていました。すると愚痴られた当人が、「あなたもよ」と返したそうです。
愚痴を言った人は、ひどくショックを受けたといいます。
私はこの話を聞いて、ふと考えました。...
ミクロアホ学とマクロアホ学 ── 人間の不条理を体系化する新しいレンズ
## はじめに
「なんでこんなことになってしまうのか」
この問いが、私の思考の原点にあります。個人が明らかに自分の首を締めるような判断をする。組織が誰の目にも不合理な意思決定を繰り返す。国家が、後世から見れば到底理解しがたい集団狂気に飲み込まれていく。そのたびに、私は喉の奥に何かが刺さったような...
信頼のハイパーインフレ──なぜ私たちは人間を信じられなくなったのか
## はじめに
パンを食べるたびに、ある漫画のキャラクターを思い出します。
食パンにスライスチーズとハムを乗せて、20秒レンジでチンする。それだけで、温かくて美味しい食事ができる。2分もかからない。でも、その2分すら自分の娘に与えることができなかった母親がいた。フィクションの中の話ですが...