行動経済学
6件の論考
余剰の倫理学 ―「なくても平気」が解放する力と、その正しい使い方
## はじめに
10年ほど前のことです。私は150万円をインデックスファンドと外国株に投じた後、ほとんど忘れていました。証券会社から届く運用報告書も、まともに読んだ記憶がありません。コロナショックで世界の株式市場が30%以上暴落していた2020年の春も、私は自分の口座残高を確認しませんでした。...
ミクロアホ学とマクロアホ学 ── 人間の不条理を体系化する新しいレンズ
## はじめに
「なんでこんなことになってしまうのか」
この問いが、私の思考の原点にあります。個人が明らかに自分の首を締めるような判断をする。組織が誰の目にも不合理な意思決定を繰り返す。国家が、後世から見れば到底理解しがたい集団狂気に飲み込まれていく。そのたびに、私は喉の奥に何かが刺さったような...
お前、死にたいのか? ―リスク回避本能が仕掛ける「普通の罠」について―
## はじめに
「なぜリスクを取れないのか」という問いを、多くの人が一度は自分に向けたことがあるはずです。新しいことへの挑戦を前にして足がすくむ自分、確実な道ばかりを選んでしまう自分、そして「もっと大胆に生きられたら」と思いながらもやはり引いてしまう自分に、居心地の悪さを感じたことがある人は少なく...
解決させちゃったら困るビジネス──「答えはとっくに出ている」のに、なぜ私たちはそれを実行できないのか
## はじめに
2026年2月、日経平均株価が史上初めて5万9000円台を突破しました。
このニュースを見たとき、私の頭に最初に浮かんだのは、リーマンショック後の記憶でした。あの頃の日経平均は7000円台。そこから約8倍です。もし2009年に日本株のインデックスファンドを買って、ただ放っておいた...
掃除という哲学——損失回避性を逆手に取り、認知資源を取り戻す「最も身近な行動療法」
## はじめに
私は、掃除が好きです。
こう書くと、几帳面な性格の人間が自分の美徳を語っているように聞こえるかもしれません。しかし、この論考で私が伝えたいのは、そういう話ではありません。掃除という行為の中に、行動経済学、認知科学、アテンションエコノミー、心理療法、そして哲学が凝縮されているという...
弱さの開示と社会構造の歪み——なぜロマンス詐欺市場は拡大し続けるのか
## 導入:ロマンス詐欺とバレンタインの季節性
2月。街がチョコレートの甘い香りに包まれるこの季節は、同時に、ある犯罪が最も活発になる時期でもあります。
警察庁の統計によれば、SNS型ロマンス詐欺の被害額は2025年11月は486件、被害額は53億9000万円にのぼります。
これは...