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ソフトウェアは消えない、増殖する ― 生成AI時代に人間が手放してはいけない「見ている世界」について
## はじめに
2026年に入ってから、世界中のソフトウェア株が凄まじい暴落を経験しました。きっかけは、ある大手AI企業が立て続けに発表した強力なエージェント機能群です。SalesforceやAdobeのようなSaaSの巨人から、サイバーセキュリティ企業に至るまで、時価総額が軒並み吹き飛び、一説には世界で1兆ドル以上が消えたとも言われています。世に言う「アンソロピック・ショック」です。
ウォール街がパニックに陥ると、決まって登場するのが極端な預言者です。「SaaSは死んだ」「ソフトウェアはもう要らなくなる」。市場の数字を見れば、そう言いたくなる気持ちもわかります。
しかし私は、システムエンジニアとして日々コードと向き合っている立場から、この「ソフトウェア不要論」はかなり浅いと感じています。私の結論を先に言ってしまいましょう。**ソフトウェアは消えるどころか、これから歴史上かつてないほど「増殖」します。** しかもその増殖を駆動するのは、AIに置き換えられると恐れられている、ほかでもない人間の能力です。
なぜそう言えるのか。本稿では、市場が本当に恐れているものの正体から説き起こし、AIと人間を分かつ決定的な境界線へと降りていき、最後に「ソフトウェア大増殖」という未来の輪郭を描いてみたいと思います。少しだけ、ご一緒に考えていただけると嬉しいです。
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## 第1章:市場が殺したのは「ソフトウェア」ではなく「UIとアカウント課金」
まず、暴落の正体を冷静に見極める必要があります。市場が恐怖したのは、本当に「ソフトウェアそのもの」の消滅でしょうか。私はそうは思いません。死刑宣告を受けたのは、ソフトウェアではなく、この20年間SaaS企業に莫大な利益をもたらしてきた**特定のビジネスモデル**です。
従来のSaaSは、おおむね二つの柱で稼いでいました。一つは、使いやすい画面(UI)を提供すること。もう一つは、利用する社員の頭数に応じて月額料金を取る「アカウント課金」です。
ところがAIエージェントが、人間の代わりにバックグラウンドで複数のタスクを処理し始めると、この二本柱が同時に揺らぎます。人間が複雑なメニューを一つひとつクリックする必要がなくなれば、豪華なUIの優位性は薄れます。そして「100人の社員が使うから100ライセンス」というモデルは、「1体のAIエージェントがAPI経由で100人分を回す」という現実の前に崩れていきます。
つまり市場が見ているのは「ソフトウェアの死」ではなく、「**人間が操作するためのソフトウェア**というビジネスモデルの賞味期限切れ」なのです。これは恐ろしい変化ではありますが、ソフトウェアの消滅とはまったく別物です。
考えてみてください。AIエージェントがどれだけ賢く自律的に働こうとも、彼らが仕事をするためには「働く場所」が要ります。データが矛盾なく格納され(データベースのACID特性のように、1円も狂わない世界)、誰がどの情報に触れてよいかが厳格に管理され(権限とガバナンス)、確率ではなく決定論で動く基幹業務が保証された環境です。AIエージェントを「自律的に動く優秀な新入社員」だとすれば、ソフトウェアとインフラは彼らが働く「オフィス」そのものなのです。優秀な社員が増えれば増えるほど、オフィスは要らなくなるどころか、もっと必要になります。
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## 第2章:それでもExcelは消えない ― ただし主役は交代する
身近な例で考えてみましょう。Excelです。
私は、Excelは絶対に無くならないと思っています。なぜなら、人間が「数字のロジックや構造」を一目で把握するためのインターフェースとして、あの二次元グリッドを超えるものを人類はまだ発明していないからです。縦と横の軸でデータを並べ、セルに数式というブレない規則を埋め込む。これは人間の脳にとって、おそらく最も認知負荷の低いデータ表現の一つです。財務諸表のように1円の狂いも許されない計算を、確率で揺れるAIの「脳内」だけで完結させるのは危険ですが、数式という器に載せれば決定論的に固定できます。
では何が変わるのか。**Excelを操作する主役が、人間からAIへ交代する**のです。これまで人間がVLOOKUPやマクロを必死に組んでいた作業は、「過去3年の売上推移と来期3パターンの需要予測が連動するシートを作って」という一行の指示に置き換わっていきます。人間の役割は「作業」から「要件定義と検証」へ移る。プロンプトが仕様書になり、AIが組んだ数式が業務のロジックとして本当に正しいかを見抜く「監査」の力が問われるようになります。
しかし、ここからが本題です。私が強調したいのは、その先にもう一段の判断があるという点です。
複雑な計算をさせるなら、正直なところExcelで粘るより、Pythonでスクリプトを書いて回したほうが、処理速度も品質も桁違いに優れていることがよくあります。そしてそのPythonスクリプトも、いまや私はAIに叩き台を書かせて爆速で仕上げます。すると、こういう仕事の存在に気づくはずです。
- そもそも「ExcelをAIに作らせればいい」と発想できる人
- さらに「いや、これはExcelよりPythonでやるべきだ」と判断できる人
- そして実際にPythonで開発し、そのメリットとデメリットを相手に説明できる人
この三つを兼ね備えた人材は、AIが普及すればするほど希少になります。一般のユーザーは「Excelが重い、AIに軽くしてもらおう」と対症療法に走りますが、プロは「それはExcelの構造的限界だ。Pandasでバッチ処理して、結果だけ軽量なファイルに吐き出させよう」と根本から設計を組み替えます。
AIは「Excelの関数を書いて」と言えば書き、「Pythonコードを書いて」と言えば書きます。けれど、「**そもそもどちらの技術を、この目的・データ規模・将来の拡張性において選ぶべきか**」というアーキテクチャの選定は、指示されなければ始まりません。技術の目利きと交通整理。ここに、消えない仕事の核があります。
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## 第3章:AIと人間の決定的な差は「見ている世界の解像度」
ここで私は、議論をもう一段深いところへ進めたいと思います。アーキテクトの目利きは、いったい何に支えられているのか。突き詰めると、それは**AIと人間で「見えている世界」がまるで違う**という事実に行き着きます。
「AIのほうが膨大なデータを持っているではないか」と言われるかもしれません。確かに、Web上のテキストという「記号化された知識」において、AIは天文学的な蓄積を持っています。ベースの知識量で人間が勝てるはずもありません。
問題はそこではないのです。差が出るのは、**いま目の前にある課題が放っている、リアルタイムの「シグナル」をどれだけの解像度で受信できるか**という点です。
一つのプロジェクトやトラブルが目の前で起きるとき、その課題は文字情報だけでなく、空間全体で大量の非言語データを「匂わせて」います。たとえば、こんな具合です。
- ステークホルダーの感情の力学。「言葉では賛成しているのに、声のトーンが妙に低いな」「この提案、隣の部署のメンツを潰しかねないな」
- 明文化されていない文脈。その会社が過去にどんな失敗を抱えてきたか、決裁者のこだわりがどこにあるか
- 五感を通じた現場の空気。会議室に漂う重苦しさ、担当者がふと見せた焦りの表情
人間は、こうした非構造化された膨大なリアルタイム・データを、意識的にも無意識的にも受信し、一瞬で統合して全体像をつかんでいます。「ここはExcelでなくPythonで裏を固めよう」という判断の裏側で、実は「担当者はITに不慣れだからPythonと言うとアレルギーを起こしそうだ。だがこのデータ量では来月にも業務がパンクする。だからまず相手を安心させる説明から入り、裏側だけPythonでがっちり固めよう」という、入力窓には到底収まらない計算が走っているわけです。
一方、AIにとっての「目の前の課題」は、誰かがテキストに翻訳して入力してくれたものがすべてです。「Excelの処理が重くて困っている」という一行が、AIにとっての世界の全体像になります。どれだけ賢くとも、入口が「人間がキーボードで打った綺麗なテキスト」と「カメラが捉えた四角い映像」に限られている以上、現場が漏れ出すシグナルの大半は、AIには届きません。
この「見ている世界の薄さ」は、実は最先端AIが抱える根深い限界と地続きです。ロボット工学には「モラベックのパラドックス」という有名な逆説があります。チェスや数式処理のような高度な推論はAIに易しいのに、歩く・物をつかむ・場の空気を読むといった、人間が無意識にこなす感覚運動のほうが、桁違いに難しいというものです。人間の知能は、私たちが思う以上に「身体」に深く根を張っている。哲学者マイケル・ポランニーが『暗黙知の次元』で「私たちは語れる以上のことを知っている」と喝破したように、現場の達人の判断の多くは、言葉にできない身体的な知(暗黙知)として蓄積されています。AIが処理できるのは、その暗黙知を一度テキストや画像という記号に落とし込んだ「出がらし」のほうなのです。
人間はコンテキスト(文脈)の塊を生き、AIはテキスト(記号)の塊を処理している。私はこの一文に、両者の境界線がすべて凝縮されていると感じます。
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## 第4章:そのセンサーを鍛えるのは、AIではなく図書館の心理学
では、この「漏れ出すシグナルを読み取る天然センサー」は、どうすれば鍛えられるのでしょうか。
意外に思われるかもしれませんが、私の答えは「AIではない」です。むしろヒントは、図書館に静かに眠っている、膨大な心理学や社会学の蔵書のほうにあると考えています。
少しふざけた比喩をお許しいただければ、AIは「代わりに走ってくれる電動キックボード」のようなものです。便利ですが、それに頼るほど自分の脚の筋肉は衰えます。一方で心理学の名著を読むことは、自分の脚の筋肉そのものを強くする「優秀なタンパク質」を摂取する行為です。少々の冗談を込めて言えば、AIは外付けのギプス、心理学の本は内なる筋肉を作るプロテイン、というわけです。
なぜそう言えるのか。AIに「こういう状況なんだけど、どう思う?」と尋ねれば、もっともらしい「答え」が即座に返ってきます。けれどそれは、自分の脳の筋肉を一切鍛えません。対して、心理学の古典は「答え」ではなく「**人間の心を観察するための新しいレンズ**」を授けてくれます。
たとえば、ダニエル・カーネマンが『ファスト&スロー』で描いた、直感的で速い「システム1」と、論理的で遅い「システム2」という枠組み。これを一つ知っているだけで、現場の見え方が変わります。本を読む前は「あの担当者、なんだか機嫌が悪そうだな」という漠然とした印象で終わっていたものが、読んだ後には「いまの反応は、自分の選択を正当化しようとする防衛反応だな。ならばアプローチをこう変えれば、相手はメンツを保てるはずだ」という構造的な分析に変わります。脳内にレンズが一枚増えると、会議室に入った瞬間に拾えるデータの解像度が、文字どおり一変するのです。
さらに、静かに本と向き合う時間は、自分の過去の苦い失敗と理論を「照らし合わせる」時間にもなります。「ああ、あのときのあの人の怒りは、この法則で説明がつくのか」という腹落ちの瞬間。これこそが、天然センサーの感度を引き上げる「筋肉の超回復」そのものだと、私は思っています。
結局のところ、AIという強力なアプリを最大限に使いこなせるのは、「人間に対する深い洞察」という頑健なOSを脳内に持っている人です。OSが貧弱なままでは、どれだけ高性能なアプリを積んでも、目の前の課題の複雑さに気づくことすらできません。AIの限界を論じていたはずが、最終的な解決のヒントが図書館の古典に回帰していく。私はこの構図に、少なからぬ知的なロマンを感じます。
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## 第5章:そして、ソフトウェアは「大増殖」する
ここまでの道筋を踏まえると、冒頭の「ソフトウェア不要論」がいかに表面的かが見えてきます。私自身の実感を言えば、生成AIが進化してから、私が日々使うソフトウェアの数は減るどころか**爆発的に増えました**。少しでも不便を感じたら、その場で専用ツールを作ってしまうからです。
これまでのソフトウェアは、ベンダーが「最大公約数」として設計し、何万人ものユーザーに汎用的に使ってもらうものでした。だから私たちは「ちょっと不便だけど、仕様だから我慢するか」と妥協してきました。ところが「発想・判断・開発」ができる人がAIを右腕にすると、汎用ツールに自分を合わせるという無駄が消えます。「この並び替え、毎日3クリックするのが面倒だ」と思えば5分で自動化スクリプトを書き、「この整形作業がだるい」と思えばAIに叩き台を作らせて即デプロイする。結果として、身の回りは「自分のためだけに最適化された一点物のソフトウェア」で溢れていきます。「1社100ツール」の時代から、「1人100ツール」の時代へ。これがパーソナライズされたソフトウェアの大増殖です。
ここで思い出していただきたいのが、経済学における「ジェヴォンズのパラドックス」です。19世紀の経済学者ジェヴォンズは、蒸気機関の効率が上がって石炭が「節約」できるようになったら石炭消費はむしろ激増した、という逆説を指摘しました。効率化はコストを下げ、コストが下がると需要が爆発する。ソフトウェア開発も同じです。AIによって開発コストが劇的に下がった結果、ソフトウェアは「節約」されるのではなく、これまで採算が合わず誰も作らなかった無数のミクロな課題にまで、ソフトウェアが投入されるようになる。不要になるどころか、需要そのものが桁違いに膨らむのです。
具体例を一つ挙げさせてください。先日、私は警察庁が公開している特殊詐欺の統計データ(生のCSV)をダウンロードし、AIと対話しながら分析しました。わずか数か月で被害総額が1千億円を超える規模であること、なかでもSNS型投資詐欺が1件あたりの被害額で群を抜いていること。数字の異常さに、画面の前で背筋が寒くなりました。
そこで私は考えました。防犯の注意喚起PDFをいくら作っても、本当に届けたい人ほど読みません。なぜなら、騙される瞬間の人間は論理的なシステム2ではなく、直感的なシステム1で動いているからです。ならば、システム1の罠はシステム1で攻略すればいい。「占い・性格診断」という、人が直感で楽しんでしまうパッケージに防犯メッセージを忍ばせれば、本来届かない層の懐にそっと滑り込めるのではないか。こうして私は、性格から「あなたが狙われやすい詐欺タイプ」を診断する小さなPWA(Webアプリ)を、ほぼ一日で作って公開しました。
このアプリは、AIが自発的に作れるものではありません。生のCSVを「怪しいぞ」と嗅ぎつけた当事者意識、投資にハマる人間の心理への洞察、「占いで防犯」という針の穴を通すような発想、高齢者でも使えるよう機能を引き算する現場感覚――そのすべてが、第3章・第4章で述べた「人間にしか見えないデータ」から生まれています。AIはコードを1秒で書きますが、「なぜそれを書くのか」「誰のどの感情を救うために書くのか」は1ミリも理解していません。AIは最高の手足として働いてくれた。けれど、設計図を描いたのは人間です。これこそが、大増殖するソフトウェアの正体だと、私は思うのです。
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## おわりに
「ソフトウェアはなくなる」と語る識者は、誰かが作ったパッケージ製品という、氷山の一角しか見ていないのだと思います。水面下では、課題の匂いを嗅ぎ取れる人間が、AIという全自動の職人を従えて、世界に一つだけのソフトウェアを次々と産み落としている。その総量は、これまでとは比べ物にならない規模で膨らんでいきます。
不要になるのはソフトウェアではありません。技術のブラックボックスに甘んじていた「ただの作業」です。Excelに手入力する作業や、コードをコピペするだけの開発は、確かにAIに飲み込まれて消えるでしょう。けれど、その先で「何を、誰のために、どう組み合わせて作るか」を決める仕事は、むしろ希少価値を高めていきます。
だからこそ私は、AIの時代にあえて図書館へ通うことをお勧めしたいのです。最新のテクノロジーの限界を超える鍵が、人類が何百年もかけて積み上げた古典の中に眠っている――この少し皮肉で、とても希望のある事実を、ご一緒に味わっていただけたなら幸いです。さて、あなたなら、次にどんな不便を、どんなソフトウェアで解決しますか。
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## 予想される反論と、それに対する見解
### 反論1:「いまAIが苦手なだけで、数年後にはマルチモーダル化で空気も読めるようになる。あなたの議論は時間切れになるのでは?」
最も痛いところを突く反論です。確かにカメラやセンサーの進化で、AIが拾える非言語情報は増えていくでしょう。しかし問題は入力チャネルの数だけではありません。モラベックのパラドックスが示すのは、感覚運動と身体性に根ざした暗黙知は、記号化した瞬間に大半が失われるという構造的な難しさです。仮に技術が追いついても、その頃には人間も新しい暗黙知の領域へ移っています。境界線は消えるのではなく、前進し続けると私は見ています。
### 反論2:「結局それは、上澄みの優秀なエンジニアの話だろう。大多数の凡庸な仕事は消えるのでは?」
その通りで、私はそこを否定しません。「ただの作業」は消えます。本稿の主張は「すべての人が安泰だ」ではなく、「ソフトウェアという営み全体は縮小せず増殖する」というものです。痛みを伴う再配置は起きます。だからこそ、自分のセンサーとOSを鍛える投資が、いま誰にとっても合理的だと申し上げているのです。
### 反論3:「ノーコードやAIアプリビルダーが進化すれば、非エンジニアでも一点物ツールを作れる。エンジニアの優位性は消えるのでは?」
歓迎すべき変化です。ただし、ツールが作れることと、最適なアーキテクチャを選べることは別物です。データ規模が膨らんだとき、セキュリティが問われたとき、仕様変更で一歩も動けなくなったとき――そこで「目利きとリバースエンジニアリング」ができるかどうかが効いてきます。裾野が広がるほど、頂を担える人の価値はむしろ上がります。
### 反論4:「ジェヴォンズのパラドックスは資源消費の話で、ソフトウェアに当てはめるのは飛躍では?」
論理の核は「効率化→コスト低下→需要爆発」というメカニズムにあり、対象が石炭でも開発工数でも成立します。実際、ソフトウェア史は一貫してこの道を歩んできました。紙の帳簿がExcelになり、ExcelがSaaSになっても、ソフトウェアの総量は減っていません。今回も例外だと考える理由を、私は見つけられないのです。
### 反論5:「心理学の古典を持ち上げているが、再現性に乏しい理論も多い。それを『良質なタンパク質』と呼ぶのは楽観的では?」
公正な指摘です。古典の中には、現代の検証に耐えない説も含まれます。だからこそ重要なのは、理論を「正解」としてではなく「観察のレンズ」として使う姿勢です。レンズは多いほど死角が減ります。一つの理論を盲信するのではなく、複数を持ち寄って現場と照合する。その検証作業こそが、センサーを鍛える本体だと考えています。
### 反論6:「AIに丸投げできるなら、わざわざ仕組みを理解する必要はない。理解は時間の無駄では?」
短期的にはそう見えます。しかし、理解のない人がAIにコードを書かせると、バグや仕様変更の瞬間に立ち往生します。AIに渡す最初の一手の精度も、出てきたコードの良し悪しを見抜く速さも、理解のある人とは桁が違います。理解は「無駄」ではなく、AIを10倍の速度で走らせるためのアクセルなのです。
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## 参考文献
- 書籍:『暗黙知の次元』マイケル・ポランニー著/高橋勇夫訳(ちくま学芸文庫, 2003)[Amazon](https://www.amazon.co.jp/dp/4480088164?tag=digitaro0d-22)
- 書籍:『ファスト&スロー(上)― あなたの意思はどのように決まるか?』ダニエル・カーネマン著/村井章子訳(早川書房, 2012)[Amazon](https://www.amazon.co.jp/dp/4152093382?tag=digitaro0d-22)
- 書籍:『ギャンブル脳』帚木蓬生著(新潮社, 2010)[Amazon](https://www.amazon.co.jp/s?k=ギャンブル脳+帚木蓬生&tag=digitaro0d-22)
- データ:「特殊詐欺の認知・検挙状況等について」警察庁 [npa.go.jp](https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/sagi.html)
- 解説:「モラベックのパラドックス」Wikipedia [ja.wikipedia.org](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)
- 記事:「効率化が生むのは、進歩か、それともさらなる消費か。AI時代の『ジェボンズのパラドクス』」IDEAS FOR GOOD(2025年11月)[ideasforgood.jp](https://ideasforgood.jp/2025/11/18/jevons-paradox-ai-sustainability/)
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### 著者プロフィール
kentrue(yousystem)
フリーランスクリエイティブエンジニア/現代社会構造分析フリーク/ミュージシャン/ビジネス寓話創作者/思想家/キャバクラ愛好家
麗澤大学不合格、中央学院大学不合格、千葉商科大学不合格、城西国際大学不合格、
日本大学農獣医学部食品経済学科不合格、明治大学商学部二部不合格、
日本大学法学部法律学科二部不合格、神奈川大学不合格、法政大学二部不合格、
専修大学石巻短期大学部不合格、千葉経済大学不合格、
日本大学短期大学部合格、日本大学経済学部1年の留年を経て卒業
ハッシュタグ
#生成AI #ソフトウェア #SaaS #暗黙知 #身体性 #システムエンジニア #ジェヴォンズのパラドックス #AI時代の働き方
記事情報
公開日
2026-06-09 11:14:18
最終更新
2026-06-09 11:14:19