採用
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本棚のない部屋
三月の第二週、青葉フーズシステムズの会議室には、最終面接に残った十四人分の評価シートが並んでいた。
人事課長の宮下は、その紙の束を前にして、去年と同じ違和感を覚えていた。上位に並ぶ名前が、去年と、そのまた去年と、驚くほど似た顔ぶれに見えるのだ。出身校ではない。話し方だ。彼らは一様に、間の取り方が...
履歴書に書けなかった一行
三雲フーズの新規事業室は、社内で「離れ小島」と呼ばれていた。本社ビルの七階、ワンフロアの隅を間仕切りで区切っただけの、八人の部署である。室長の宮下佳子が二年前にこの部屋を任されたとき、上から与えられた条件はひとつだけだった。
「三年で新しい柱を作れ。人はひとりだけ、好きに採っていい」
宮下が選ん...
その基準で、何を測っているのか
神谷良介は、採用選考委員会の資料を静かに閉じた。
「山田さん、出身大学を見ましたか。うちの基準には届かない」
総務部長の堀口が、老眼鏡ごしに言った。堀口はこの会社に三十年いる。帝国大卒、経営企画出身。自他ともに認める「うちの採用文化の守り手」だった。来年は定年が近い。自分がそれまで守り続けてきた...